第十章

4/14
前へ
/168ページ
次へ
 あぁ、アジスタには感謝しないといけないのかしら?  私の望みの一つ、生きることをさせてくれたのはアジスタなのだから。  それから、母親を殺してくれたのもアジスタ。  あの子やアイツは知らないでしょうけれど。 「謎解きを、してあげるべきかしら?」  あの子はきっと悩んでいる。アイツのことなんて知った事ではないけど。シアンのことも知った事じゃない。  あぁ、もしかしたら、シアンはどこかで気付いているのかもしれないわね。いつもいつも、どこからか情報を入手していた。  知らないふりをしてくれていたのは、シアンなりの気遣いかしら?  どうだって良いわ。  私はもうすぐ、最大の望みが叶えられるのだから。  あの子が謎解きをしてほしいと言うなら、すべて話してあげる。  聞いたらきっと、今以上に苦しむかもしれないわね。それが願いでもあるのだけれど……願いのはずなのに、知らないままであの子が幸せでいられたら、なんて矛盾してる考え。  これ以上苦しめたくない?  あぁ、そうかもしれないわ。  私のことだけで、苦しんで欲しいのよ。  他のヤツのことで苦しむなんて許せないわ。許されないの。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加