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僕は何もしてあげられなかった。助けてあげられなかった。
悔いて嘆いて、泣き喚いたところでどうしようもないのはわかっているのに。
あの状況で、どうやって救えた?なんて逃げ道を探したりして。
「ザーク、先に謝っておく。ごめん」
突然リグは話し始めた。
「え?なに?」
何故、リグが謝るの?
リグに対して自分は幼い子供のままだ。わからないことが多すぎで不安になってリグを凝視してしまう。
リグはしっかりと僕の目を見ていた。
「今回のことは、俺は全く知らない。それは信じてくれ。ただ、謝るべきことがある」
真っ直ぐ僕を見たまま、紡がれるリグの言葉は、いつになく固くて。どこか緊張をはらんでいて。
これ以上何かが起こるのはもう嫌だったけれど、それでもリグの話しを聞かない選択肢は浮かばなかった。
むしろ、この混沌とした状況を、打開できるのではないかと、そう思った。
「アイリスが、闇にのまれて狂ったのは、俺のせいだ」
静かにリグが告げる。
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