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「アイリスを吸血鬼にしたのは俺じゃない。シアンでもないって、あいつは言ってた。でもいつの間にか俺たちと共にいたから、多分だけどアジスタだ。でも、吸血鬼になっただけなら、闇にのまれることはない。狂うこともない。俺が、アイリスの光を奪った。お前を、俺が、アイリスから奪ったから、アイリスは狂った」
リグの言葉一つ一つが、ゆっくりと脳内に入ってくる。
「リグといるのを選んだのは、僕自身だから、リグが謝るのはおかしいよ」
我ながら、小さな呟きだったと思う。
そう、選んだのはまぎれもなく僕自身で。だから、リグが謝る必要なんてないのに。
「シアンに言われて気付いた。アイリスは、どうやって正気を保っているんだ?ってな」
あの時、シアンに連れて行かれたリグも、衝撃的なことを言われていたんだ、とボンヤリする頭で考える。
僕は、ずっとリグにすがって生きてて、アイリスはかわらずそこにいてくれるんだって信じてた。何の根拠もないのに。
アイリスが、どうやって正気を保っていたか?
「わからない……」
静かに答える僕の声。
わからないのだ。本当に。闇にのまれるとはどういうこと?
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