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そうだ。あの時俺はザークに出逢ったから、狂わないですんだ。
ザークに救われたのは、俺。
狂いだしそうな凶暴な心内を抱えて、俺は人の中に立っていた。
別に誰を狙おうとか、思ってたわけじゃないし、このまま闇にのまれてたまるか、という思いもあった。
でも、俺をさいなむ凶暴性が、簡単に消えるわけでもなく。
このまま狂ってしまおうか、なんて考えてもいた。
「人に害をなすつもりでないならば、私はあなたを見付けたことを無視しましょう」
凛と通る幼い声。
目を見開いてみた相手は、本当に幼くて。それでも内に秘めた力の強さの波動と、声と同じ凛とした光輝くオーラに目を惹かれた。
こいつだ。直感で確信した。
俺は、コイツを待っていたんだ、と。
ここにいたのは、コイツと俺が出逢うため。
不思議と今まで抱えていた凶悪な心は霧散していた。
「お前に逢わなかったら、俺は狂って、闇に堕ちて、もうこの世界にはいなかった」
あの時を忘れたことなんて、なかった。
ザークと初めて出逢った時、簡単に霧散した俺の凶暴性。
ザークといることで、俺は闇にのまれず、狂わず、生きられた。
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