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「だから、自分が全ての元凶だなんて言うな」
頼むから、俺のそばからいなくなるな。
お前がいなければ、この身は簡単に闇に堕ちて、凶悪で凶暴な本性をさらけ出して、今アイリスが起こしたことよりも凄惨に、この世を混沌に突き落す。
あの時、そうなっていたならば、シアンなりアジスタなりが、止めに来て俺はこの世からいなくなってただろう。
「僕だって、リグがいなくなるのは嫌だ」
小さな声だったけれど、たしかにザークは自分の心を主張した。
自分が生きる為に、自分を犠牲にして生きていた子供は、自分を主張できない子供だった。
けれど、今たしかに、自分の主張として、俺といたいと望んでくれている。
「ありがとう」
ザークが、アイリスをどうするかは、まだわからない。
多分ザークは、悩んでる。迷っている。
ザークが死をアイリスに与えられないならば、俺はアジスタに頭を下げに行かなければならない。
けれど、ザークの心を考えれば、家へと帰って行ったあの長兄に、頭を下げるなんてことはどんだけでもしてやる覚悟だ。
今すぐにでも、引きずり出して、自分が引き起こしたのだろう?と詰め寄って……頭下げてないじゃないか、俺。
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