第十一章

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 そう、今更過ぎるのだ。気付かないで、今まで甘えて……。  ガチャリ  姉が開け放ったのは、屋上へと続く扉。 「ねぇ、ココはとっても綺麗じゃない?満月が、とてもキレイに見えるのよ」  先に屋上へと出て行った姉が、僕を呼ぶ。  ここへ来て、と。  静かに僕は、屋上へと足を踏み出した。  姉の瞳は金色に染まっていて。以前は僕と同じ薄茶色だったのに。  何故気付かなかったのだろう。姉の変化に。こんなに顕著に表れていたのに。 「満月は、あなたみたいね」  なんて、とても楽しそうに。  僕は言うべきはずの言葉をどこかに置き去りにしたまま、姉へと歩み寄っていく。 「とても綺麗に輝いているのに、自分自身では輝けない。月は、自分が輝いているのを知っているのかしら?」  姉の独り言ともいえる言葉は続く。
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