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唐突に思い出したのか、明るさを保ったまま自己紹介をしたロイが、言葉を濁す。
「ロイ君ですね。私のことは、ザークで良いですよ。皆そう呼びますからね。言い淀んだのはお金のことですか?」
また、元の優しい笑顔に戻って話すザークを見ながら、ロイは頷く。
「うーん、そうですね。ロイ君が生活に支障をきたさない程度で、今から調査終了期間までで支払える金額でかまいませんよ」
ロイの表情の変化を楽しげに見ながら言うザーク。
「え?でも、それじゃあすごく少ないと思うんですけど……」
困惑気に言うロイに、
「出世払いでも良いですよ」
とあくまで気楽なザーク。
何と返して良いかわからなかったらしく、ロイは困惑した表情をさらに深め、ザークを見つめる。
「本気なんですけどね。今現在特に生活に困っていませんし」
変ですかねぇ、とザークは本気で悩んでしまっている。
「あ、あの、じゃぁ、お言葉に甘えさせていただきます。出世払いでも良いですか?」
少し慌てたようなロイに、
「ええ、かまいませんよ。ただし、住所と電話番号は変わったら必ず教えて下さること、が条件です。あ、現在の住所などは、この紙に書いてもらえますか?」
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