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「うん」
すがすがしい
笑顔で、ザークは頷いた。
「……」
なんだ、この敗北感は。
今までにない強敵が現れた気分だ。
「リグ?リグ、ねぇ、一緒に行ってくれないの?」
はっとしたら、ザークが泣きそうな不安な顔をしてリグを覗き込んでいた。
どうやら、返事をしなかったことで、不安にさせたらしい。
というか、……。
「今度は一人で行くなんて言わないんだな」
置いて行かれたら、どうしてやろうか、と考えていたのが霧散した。
「僕一人で勝手に行けって言われたら、そうする」
少しスネた口調。
なんだ、この可愛さは。
って、俺は馬鹿か?
「はっ、んなこと言う訳ねぇだろ、いつ行くつもりなんだ?」
自分を取り戻しつつあるリグに、ザークは「早い方が良い」と答えた。
多分、ロイやその友人に会いたくないからだろう。
「早く、ね。荷物どうすんだ?向こうの住所決まってないし、こっちで処分してくしかないぞ」
物には頓着してなさそうだし、日本で落ち着き場所を見付けたら、また買えば良いのだけれど、一応聞いてみる。
「ええーっと、ココが住所」
ポケットを探ったザークが紙を出す。
おい、待て。住所?
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