第十一章

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「タチナがね、日本に来るならどうぞって。部屋は空いているから気にしないで来て良いって」  なんだ、この敗北感は(三回目)。  タチナ、強敵すぎるぞ。おい。 「あ、それでね、タチナが恋人紹介してくれるって。僕もリグのこと紹介したいし、一緒に行きたい人がいるって言ったから」  タチナ、お前には恋人がいたんだな。良かった。なんてリグが思っているとはつゆ知らず。 「うーん、でもある程度の家具はそろってるって言ってたし……服とかそんなくらいで良いか、持ってくの」  やはり持ち物にはあまり頓着していなかったらしいザークは、なにやら楽しそうに荷造りを始めている。  今から荷造り……徹夜でもしてやりそうだな、ザーク。とリグは思う。  そう言えば、世界中飛び回ってた頃も、唐突な思い付きからかいきなり夜中に荷造りとか、よく有った。  俺は覚えている。この光景を……。  これはもはや、なにを言っても仕方がない。 「まったく。お前はいつも唐突だな」  あの頃を思い返して笑ってしまう。 「そんなこと言ってないで、リグもリグの荷物まとめてよ。僕、リグのはやんないからね」  完全に、固い口調はなくなっている。  それに、あの頃はどこへ行くとも何も教えてもらえなかったし、こんな風にリグに荷造りを一緒にさせることもなかった。   「僕は怖かったんだと思う。リグにすがって生きるだけの僕が、リグにいらないと言われたらって」 「言ったろ。お前に怨まれてでも、お前がいなくなることに耐えられなかったって」 「うん。だからね、僕は本当にこれから先、リグの為だけに生きようかと。リグにいらないなんて、絶対に言わせないから。傍にいてください。僕を傍に居させてください」 「あぁ、離れるなんて許してやんねぇよ。お前の全てが俺のものだ」
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