エピローグ

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 僕やリグは、生活に困らない程度の物しか送らず、後は日本で日本に合わせた物を買おうということに落ち着いたから。アメリカのあの部屋に有った家具は売り払って、マンションを後にした。  結局、ロイ君たちには、会わないまま。否、会えなかった。……会えるはずもなくて。  タチナは何も事情をきかなかった。  さっき会った、タチナの弟も。詮索されることなく。ただ彼は、お兄さんの不思議な友人として、僕たちをとらえたみたいだった。  タチナの弟も、やっぱり光の力を持つ子で。でも、僕たちの正体に気付いてるはずなのに、何も言わなかった。  不思議な子だな、なんて思ったけど。失礼なことになりそうだし、こちらの事情を深く聞かないでここで暮らして良いって言ってくれた人に、そちらの事情を話せなんて言えるわけなかった。  不思議な気配はたくさんあったけど、どれも不快なものではなかった。  なんだろう?と思ってそっちを見ていた僕に、タチナの弟は笑って、 「俺の式神や、式がいるだけですよ」  と答えてくれた。  なるほど、こういったモノを自分の使いにしている人間に初めて出逢ったから、新鮮だった。
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