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「こんな所で、十分間もどうしたのですか?」
現れた青年は、ロイへと優しく微笑みながら問いかける。
「え……えっと……あの……」
唐突すぎたことと、気付かれていたこと。十分も経っていたのかなど。ロイのその表情からはとても慌てていることがうかがえる。
「そんな所に立っていたのでは寒いでしょう。とにかく中へお入りなさい」
くすり、と笑った青年はそう言ってロイを中へと招き入れる。
明るく暖かい室内に入り、ロイは改めて青年を見る。自分よりも背の高い青年は、体格やかけられた声から男性だと分かるのに、物腰の柔らかさとその美しい容姿についつい見入ってしまう。
「そこのソファに座っていて下さいね」
そう言って、彼は別の部屋へと足を運んで行ってしまった。
ロイは通されたのは、向かいに自分が通っている大学が見える窓のある広いリビングルームだった。
コートを脱ごうとして、手がとてもかじかんでいることに気付く。窓の外を見れば、白い物が上からたくさん降ってきていた。
「雪……?」
こんな寒さの中、動きもなく外でボーっと突っ立っていたら、感覚が麻痺していくのは当たり前である。
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