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第二章
「おい。夜中に一人でこんなトコふらついてんじゃねぇ。危ないだろうが!」
ビルの間。人通りも少なく、都会の明かりの届かない場所。
二十歳程の青年が、小柄な少し年下とみられる少年に対して何やら怒っているようだ。
「ったく……」
青年は苛ついている様で、少年に対して目付きの悪い目を余計に吊り上げていた。
対している少年はと言うと、
「えっと、あの、すみません。行方不明の友人を探していたもので……」
突如見ず知らずの男に怒られ、その上睨まれれば誰だって怯えるだろう。
「あぁ?んなのんどっかのすっとぼけた探偵にでも任せとけよ。とにかくもう家に帰れ。だいたい今どういう事件が起こってるか知ってるだろーが」
「あぁぁぁぁ、はい、知ってます。か、帰ります。すみません……」
少年……ロイは、一度ぺこりと頭を下げて踵を返すと、家の方へ走って行った。
青年が、探偵に依頼したことを知っている矛盾に気付かずに。
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