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レッドがレイドクラフトの屋敷で暮らすことになって、すでに一週間が過ぎていた。
元の世界に戻る手がかりは何もなく、とりあえずレッドは現在いる世界の把握から始めていた。
レッドが調べられる場所は屋敷とその近辺。
そして、屋敷から一番近くにある港街。
調べて分かったことは、この世界の水準が、レッドのいた世界より明らかに低いということ。
移動は基本、徒歩か馬車。
建物には石が使われているものの、道路は土を踏み固めただけ。
開発というより開墾じたいが進んでおらず、どこまでも森や山が広がっていた。
もちろん電気はなく、人々は火に頼り暮らしている。
他にも色々と差があるものの、調べた中での一番の違いは、レキアントが当たり前のようにいるということだった。
初めて港街に連れて行かれた時、レッドは驚愕した。
屋敷には女のレキアントが一人いるだけだったが、街には他にも大勢のレキアントがいたのだ。
どのレキアントも忙しなく働き、それを当然のようにあごで使う人々。
レキアントはペコペコと人間に頭を下げ、何か失敗があると棒で叩かれ足で蹴られ、レキアントは無下に扱われていた。
そして、人間のレキアントを見るあの目。
汚らわしいものでも見るかのような、視界に入るだけで邪魔だとでも言いたげな冷たい目。
俺はあの目を知っている。
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