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節子「片野真琴の祖母です。」
その声はしっかりとしていて、けれど脆さを感じさせた。
松野「失礼しました。 どうぞ」
節子が部屋の前まで行くと立ち入り禁止のテープが張られ、ここが事件現場だと嫌でも思い知らされる。
松野「葛西先輩。少年の親族の方が来られました。」
中には二人の刑事が居て、入って良いものか分からないで立ちどまっている節子を見かねた松野が中に居る刑事に声を声をかけた。
松野よりは少し年上に見える女性刑事の三神舞は気に留める事無く部屋の状況を事細かにメモし、代わりにもう一人の中年男性の刑事葛西幸太郎が節子を確認すると一度部屋を出た。
中は外よりも悪臭が酷くて話ができる状態ではなかったし、何よりも葛西自身が耐えきれなかった。
葛西「中央警察 刑事課の葛西です。」
葛西は警察手帳を見せ、節子は深く頭を下げた。
葛西「真琴君のご様子は?」
何を聞かれるのか何から話したらいいのか不安に思っていた節子を気付かってくれるかのように、葛西は第一に被害者である真琴の心配をしてくれた。
それは張りつめていた節子にとってはとても有り難い気遣いだった。
節子「まだ眠ってはいますが、もう大丈夫と言われました。」
葛西「そうですか。それは本当に良かった」
葛西は見た目通りに、とても穏やかにとても優しい 口調で言った。
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