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規制線の外に出るなり報道陣に囲まれ質問攻めにあうも節子は一言も答えない。
節子とアパートを交互に見ては
「あそこに住んでる人かしら?」
「おいっ 警官と話してたぞ。」
「なにか受け取ってたわよ。」
「死んだんじゃないの?」
などと話している野次馬たちの興味本位の声は来たときよりも大きく、腹が立ったが何よりも今は少しでも早くこの場所から離れたくて報道陣を振り払い病院に向かい歩いた。
が… あの悪臭がいつまで経っても消えないまま付き纏い、着ている上着の袖の部分を嗅いでみるが柔軟剤の良い香りしかしない。
すれ違う人すら訝しげな顔をしてこちらを見ている気がするも、それも気のせいかと思いまた歩き出すが、やはり悪臭がする。
微かだが、あの部屋から漂っていた臭いがする。
あの強烈な悪臭が鼻に付いてしまったのかとも思ったが、もしやと思い真琴の服を手に取り顔に近付け、顔を歪ませたまま服を袋の中に戻すと途中にある商店街へと立ち寄った。
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