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駐車場の車止めのブロックに腰を下ろして、そこで休憩がてら、食事を取ることにした。
まずは、水だ。
しょっちゅう独り言を言ったり、歌を歌ったりしながら歩いているせいで、一刻はよく喉を渇かせている。
最初に水を口にしないと、固形物を食べる気になれなかった。
ビニール袋からペットボトルのミネラルウォーターを取り出し、蓋を開けて、ボトルの口を上にした状態で、そのボトルを真っすぐ下に動かす。
そうすると、ボトルの口から、中身の水がずるずると伸びて現れる。
ボトルの外に露出したその棒状の水に、一刻はぱくりと齧りつき、飲み込んだ。
ボトルの中身を三分の一ほど外に出して齧ったあとで、ハッシュドポテトとパンを食べた。
新しい粒チョコレートが手に入ったから、今まで持ち歩いていたやつは、これもここで食べてしまおう。
そう思い立ち、一刻は、少し薄汚れた紙筒の蓋を開けた。
片目で筒の中を覗き込むと、中の粒チョコレートは、ほとんどの粒が粉々に砕けていた。
長い間、持ち歩いて振り続けていたせいだ。
こうまで砕けてしまっては、筒を振っても、もう前と同じような音は鳴らない。
一刻は、蓋を取った筒を、開いた口を上にして縦に持ち、先ほどのペットボトルと同様に真っすぐ下へ引いた。
筒の中の砕けたチョコレートが、筒の形のままするすると外に出る。
宙に浮く砕けたチョコレートの柱に、一刻はかぷりと食いついた。
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