2.時間の止まった世界 -グラデーションの旅路-

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「鳥って……あの翼を動かして、空を飛ぶんだよな」 鳥の羽ばたき。 それは、いったいどんな動きなんだろう。 鳥が羽ばたくと、どんな音がするんだろう。 鳥の鳴き声って、どんな声なんだろう――。 生まれたときからこの世界にいる一刻は、それらを知らないし、永遠に知り得ない。 鳥の周りには、木の葉も何枚か浮かんでいた。 木から離れたところで浮かんでいる、ああいう葉っぱは、「風」というものに吹かれた葉なのだろうか。 風って、どんなものなんだろう。 「ものすごく大きな息みたいなもの」と、母は言っていたけれど。 そんなの、ぜんぜん想像がつかない。 かつては時間の流れる世界にいた母と、生まれたときから時間の止まった世界にいる自分。 あの人が知っていて、自分が知らないものは、いったいどれだけあるのだろう。 それは、きっと、あまりにも限りないに違いない。 image=507315562.jpg
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