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どうやら悩みの相談のようで、仕方がないと読子は彼を座敷に上げた。
レジは呼び鈴で充分だろう。
「早速ですが、助けてください」
助けてくれと懇願する彼はあせっていた。
彼の素性はノガミ大学の一年生、名は金城正太。
身長は百五十センチほどと小柄で見た目は二次性徴前の中学生である。
「ストーカーに追われているんです」
正太の悩みはストーカーだった。
相手は周桃花という同級生。
普段は後ろを付きまとっているだけなのだが、例えば彼が別の女子と会話をすると相手に文句をつけに行くし、雑誌のグラビアでさえも敵視して目を離したすきに破り捨てるという。
最初は打ち解けられると思っていた正太も彼女の過激さに次第に迷惑を感じ始めていた。
「───だったら、ハッキリと拒絶してあげればいいじゃない。迷惑だから近づかないでくれって」
「口で言ってもダメなんです。彼女、都合の悪い言葉は聞こえていないみたいで」
「それは困りものね」
読子はさすがにこれは自分よりも警察の方が適任ではないかと思ってしまう。
「こうなったら警察に通報したらどうかしら。雑誌を破かれたのならそれだけで罪に問えそうですし───」
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