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やりすぎはいけないけれど、もう少しくらいは彼を感じていたいと読子は願うが、そうは問屋が卸さなかった。
「正太くん───」
座敷に漂う怒気。
それは読子が惚けているうちに上がり込んできた桃花が放つモノであった。
彼女は貧乳短髪でボーイッシュなのだが、しっかりと女の子らしい装いである。イタズラしたら良い声で泣きそうな予感に読子はよだれを垂らした。
「周さん!?」
「そこの女! 正太くんに何をしているの? まさか襲うつもりじゃないでしょうね」
「えっと……それは……」
読子はちょっと図星だったためつい言葉に詰まる。
「そうだったのね。アンタみたいな阿婆擦れ、正太くんには近づけさせないわ」
「止めてくれ周さん! 僕から店長さんにお願いに来たんだよ」
「コレばかりは止められないわ。相応の報いを受けてもらわないと」
「だから止めてくれって!」
怒髪天になり暴走する桃花に正太が抱きつくと、彼女はにやけ顔になり動きを止めた。
「はひぃ」
「あの……彼女はいつもこの調子なんですか?」
その様子に読子はつい正太に尋ねた。
「ええ。こうしてあげると落ち着いてくれますので」
「でもストーカーされて困っていると言うくらいなのだから、付き合っているわけではないのでしょう?」
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