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「当然ですよ。こんな調子の子と交際なんてしたら身が持ちませんし。もう少し大人しくなってくれたら考えてあげても良いですけれど」
桃花を抱きながらよしよしとあやす正太の姿に読子は興ざめしてしまった。
桃花が襲いかからんとしたところまではまるでラブコメの主人公のようだと思っていたが、その後を見て急に正太がいやらしい人物にしか見えなくなったのだ。
困っていると言いつつもまんざらでもなさそうな態度。それになんだかんだ桃花を手玉にとって余裕を浮かべる微笑み。
コイツはハーレム作品の難聴主人公みたいな野郎だと読子は察したのだ。
「まさかとは思いますが……アナタの女友達って何人くらいいますか?」
「そうですね、周さん以外にも後藤さんに志村さんに、あと山田さんと中島さんで五人くらいは。みんな僕と誰かが話していると怒ったり睨んだりするんですが、周さんはとりわけそれが酷くてついにストーカーまでする次第でして」
「ストーカーだなんて酷いじゃない。正太くんが悪い女に引っかからないか心配だったからこうして守護していたのに」
「だからそれがストーカーなんだって。守護ってくれるのはうれしいけれど、もう少し方法を考えてくれって」
漫画の主人公にはそこそこ居ても、実際に居たら困る男の実在に読子は呆れた。
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