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赤い光が弱まり、遠のいていた意識は首根っこを掴まれ、そのまま身体に引きずり戻すような感覚が身体を襲う。
「さて、ここからが俺の異世界ライフだ」
完全に光がなくなった後、膝立ちの俺は立ち上がって辺りを見渡そうとするが、それはできなかった。
「お前、どこから現れた?」
「おい侵入者だ! 兵士の増援をよこせ!」
俺の首元には剣や槍が置かれていた。
下手な動きをすればそのままグサッといかれてしまいそうだし、遠くからはグルルル、と犬の威嚇が聞こえる。……これから考えるに、俺はどこかのお偉いさんの邸宅かお城に転移されてしまったみたいだ。
「あー、その。こ、こんにちは」
「黙れぇ! お前はどこから侵入してきた! まさか……勇者の手先か!?」
そう言って剣を握る兵士は鉄仮面を外し、その白い骨を露出させ……白い骨?
何度も瞬きをし、兵士の顔を見る。そこには健康的というか、もう怪我をしないからある意味健康というか。
ガイコツだった。
皮膚は無く、どうやって喋っているのか、どうやって聞いているのか、どうやって見ているのか分からない。そんなガイコツ頭はカタカタと顎関節を鳴らしながら俺に剣を向ける。
首元に剣と槍が向けられてるため、ろくに動けない。ゆっくりと目だけを動かして辺りを見渡す。
半身半馬の化け物に、バサバサと翼を動かして上空を警戒する大きなコウモリ。手足が骨の犬。目はドロドロに溶け出している。
もう既になんとなく。なんとなく嫌な予感がしているけどガイコツくんに聞くことにしよう。
「すいません、これだけ聞かせてください。ここどこですか?」
「ここは魔王 ロロット・ルサージュ様が治める魔王城だ!」
あの神の野郎! やっぱりとんでもねぇとこに転移させやがった! 魔王城じゃねぇかここ!!
タイトル画面からニューゲームして即ラスボスかよ! 最近のフリーゲームでもこんな展開は無いぞ!?
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