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凛としていて尚且つ、なんだか心の奥から恐怖を抱くような声が場内に響く。
その声が聞こえたせいか分からないが、拳は振り下ろすのをやめ、静止している。
ガイコツの剣も同じように静止した。まるで一時停止をしたかのように。
「あら、黒髪だなんて……随分と珍しい客人がおいでになっていますのね?」
カツン、カツン。とこちらに近づいてくる音が聞こえ、俺は体制をそのままにして顔だけを音の方向に向く。
「美……少女?」
そう。美少女だった。お嬢様言葉を使うってことで大体は予想がつくかもしれないが、輪郭も整っており、目もクリクリとしている。
さらに髪型は金髪のハーフアップ。服はお嬢様ワンピというのだろうか?とてもよく似合っており、ザ・お嬢様だ。
そして一際目を奪われるのは、ところどころ腕に包帯が巻かれ、左脚がワンピの下から見えず、松葉杖のようなものを使っているということ。つまり左脚が欠損しているんだ。
「あら、美少女だなんて……ですが貴方は誰ですの?」
「え、えっと、水城 孝太郎。神に勇者として、この世界に転移させられた一般人です」
ガイコツを殴ろうと握りしめた拳をゆっくりと戻し、美少女に対してピシッと背筋を伸ばす。
「転移させられた……? 少し失礼しますわ」
少しだけ金髪の少女は眼を細める。
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