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そして少し首を動かしてしまえば唇が重なりそうなくらいの距離にまで近付いた金髪の少女は俺の首元を一点に見つめる。
その首元には神から貰った十字架のネックレスがある。それをジーッと少女は見つめながらネックレスを触った。
「……このネックレス、神の加護がありますのね。ということは本当に貴方は異世界から?」
「まぁ、はい。そうです」
なんだろうこの感覚。目を離せないっていうか。ずっと見ていたい? そんな風に思える。
「このネックレスの持つ魔力からして異世界から来たというのは本当のようですわね」
このネックレスに魔力とかあったのか……全然知らなかった。
つかよく考えたら、そんなの私聞いてない!
「そうみたいっすね」
そしてさっきからタジタジしてしまう俺はなんとなく一歩引いて、彼女から離れた。
「うふふ、少し近づきすぎたかしら?」
口元を手で隠した彼女は、クルリと後ろを振り向こうとした際、松葉杖のせいか分からないが、そのまま体制を崩しかける。
「あ、危ない!」
無意識に手を伸ばし、体制を崩しかけた彼女を支える。カランカランと松葉杖は地面に転がった。
なんとなくアニメみたいな状況だけど……仕方ない、よな。倒れたら危ない。
「えっと、大丈夫ですか?」
「えぇ、平気ですわ。ごめんあそばせ……」
「すいません、ガイコツさん。転がっちゃった松葉杖とってもらえます?」
「……お、おう!」
横でこの状況を見ていたガイコツはハッと我に返って持っていた剣を鞘にしまって松葉杖をとるためにしゃがむ。
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