初めまして非日常

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「申し訳ないですわね、本当に貴方は優しくて助かりますわ」 「いえいえ、そんな……。それより俺を呼んだ理由って何かあるんですか?」 「他の勇者についての話なのですけれど、時にミズシロさん。貴方はこの世界についてどこまで知っていまして?」 「この世界については全く知らないですね。なにせ転移した場所がここですから」  俺は肩をすくめながら話すと、ロロットは「ふーむ……」と言いながら唇に人差し指を当てて考え込む。 「では本題を話す前に、まずはこの世界の地理について軽く説明いたしましょう」  ロロットがパチンッと指を鳴らすと、空中に世界地図のようなものが現れる。  なんていうか、科学の力で浮かび上がっているみたいな感じだけど、これも多分魔法の一種なのだろう。  その後、ロロットから直々にこの世界について教えてもらった。  簡単に要約するとこの世界は、雪が降り積もる北の大陸ヒョニ。  桜が舞う東の大陸ケラスィア。  木々が赤く染まる西の大陸エリュトロス。  太陽光が眩しい南の大陸カロケリ。  この4つの大陸で形成されているらしい。ちなみに魔王城があるのは東の大陸ケラスィアの離れ小島だそうだ。 「そしてさきほど、エリュトロスの子からある報告を受けましたわ」 「エリュトロス……今の説明からだと西の大陸からですか?」 「えぇ。見たことのない服を着た金髪の男性たちがエリュトロスのある洞窟に住む子たちを全滅させたそうですの。ミズシロさん。心当たりはありまして?」  手をプルプルと震わせたロロットは、自分の手が震えていたのに気付いたのか、両手を胸の前で組んで深呼吸をする。
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