初めまして非日常

19/21
2013人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
 これで俺は瞬間移動が使えるはずだ。このスキルで1度エリュトロスに行って確認でもしてきた方が安心できるだろう。 「一応、この3つの丸の1つが橘かどうか確認してくるよ。……それでロロットに1つお願いがあるんだけど」 「ん? なんですの?」 「何か顔を隠すものなんか無いかな? 服はこのままでもいいんだけど」 「仮面……ということですわね? ならば少しだけお待ちになって?」  ロロットはソファーから立ち上がると、器用に片足でピョンピョンと飛びながらクローゼットまで歩く……というか跳ねた? 「あ、危ないよ。場所さえ教えてくれたら俺が行くよ」 「いいえ、男性の貴方に見て欲しくないのです。とにかく少しお待ちに……あ、これですわ!」  ガサガサとクローゼットの中を漁っていたロロットは高々にある仮面を掲げる。  視界が確保できる穴しか無いようなシンプルな白い仮面だ。 「無表情〔ノーフェイス〕の仮面。わたくしが昔手に入れたものですけれど、貴方に差し上げますわ」  クローゼットを開けっ放しにしたまま、またピョンピョンと跳ねながらソファーに向かい、無事に座ると俺に仮面を手渡してくる。 「え、もらっちゃうのは流石にいいよ」 「この仮面には麻痺などの異常から守る力を持っていますわ。きっと貴方の役に立つはずですの」 「そう? じゃあ、お言葉に甘えて使わせてもらうよ」  俺は笑顔で無表情の仮面とやらを受け取る。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!