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これで俺は瞬間移動が使えるはずだ。このスキルで1度エリュトロスに行って確認でもしてきた方が安心できるだろう。
「一応、この3つの丸の1つが橘かどうか確認してくるよ。……それでロロットに1つお願いがあるんだけど」
「ん? なんですの?」
「何か顔を隠すものなんか無いかな? 服はこのままでもいいんだけど」
「仮面……ということですわね? ならば少しだけお待ちになって?」
ロロットはソファーから立ち上がると、器用に片足でピョンピョンと飛びながらクローゼットまで歩く……というか跳ねた?
「あ、危ないよ。場所さえ教えてくれたら俺が行くよ」
「いいえ、男性の貴方に見て欲しくないのです。とにかく少しお待ちに……あ、これですわ!」
ガサガサとクローゼットの中を漁っていたロロットは高々にある仮面を掲げる。
視界が確保できる穴しか無いようなシンプルな白い仮面だ。
「無表情〔ノーフェイス〕の仮面。わたくしが昔手に入れたものですけれど、貴方に差し上げますわ」
クローゼットを開けっ放しにしたまま、またピョンピョンと跳ねながらソファーに向かい、無事に座ると俺に仮面を手渡してくる。
「え、もらっちゃうのは流石にいいよ」
「この仮面には麻痺などの異常から守る力を持っていますわ。きっと貴方の役に立つはずですの」
「そう? じゃあ、お言葉に甘えて使わせてもらうよ」
俺は笑顔で無表情の仮面とやらを受け取る。
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