二人目の王子様

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「俺、ねーちゃんしかいないから、男の兄弟が出来たみたいで楽しかったよ」 「いつも笑顔で頑張ってるジャンは、本当に凄いと思う。ジャンには沢山笑わせて貰った、ありがとう」 ジャンが日本に来てからの一カ月は、結構あっという間に過ぎた。 俺は、咲の家の前で、咲達と一緒にジャンを見送っていた。 「僕も男の兄弟がいないから、たけると兄弟になれたみたいで、とっても楽しかったよ!」 「咲はそういうけど、僕が頑張れたのは咲がそばに居てくれたおかげだよ。咲がいたから、僕は笑顔で頑張れたよ!ありがとう!」 咲とたけるに挨拶をしたジャンは、俺の前にも来てくれて、最後の言葉をくれた。 「幸もありがとう!君のガールフレンドをこの一ヶ月僕に貸してくれて!僕がいなくなったら、思う存分仲良くして「ちょっとまてジャン」 突然こいつはなにを言いだすんだ。え?なに、俺ジャンに咲と付き合ってるって言ったことないんだけど。 と、そんな事を考えていた俺に対してジャンが、ニヤニヤとした初めて見る表情を見せながら、俺の耳元に顔を寄せた。 「僕が咲と話してる時の自分の顔、みたことあるかい?その顔がおもしろくて、ちょっといじわるしちゃった事もあったけど、許してね。幸と咲は、羨ましくなるくらいとってもお似合いだと思う。僕の代わりに、咲の事を幸せにしてね」 俺はそう言ったジャンを、無言で抱きしめた。それに対しジャンは「わお!これで幸に抱きしめられるのは2回目だ!」と笑いながら、そして少し潤んだ声で喜んでいた。 * 「寂しいんじゃない?ジャンが居なくなって」 「...ちょっとね。毎日隣で笑ってたあの顔が見れなくなって、ちょっとさみしい」 ジャンがアメリカに帰った後、そのまま俺は咲の家にお邪魔した。ジャンが居た頃は、咲とジャンに嫉妬もして、決していい思い出だけではないけど、それでも、あの笑顔が見れなくなって俺も寂しい。毎日一緒にいた咲は、もっと寂しいんじゃないかと思ったら、なんだか一人にしたくなかった。 案の定、咲の表情が少しだけさみしそうだった。 「まあ、ジャンが居なくなった分、俺が咲の隣で笑ってやるよ」 俺がそういうと、咲の顔が一緒きょとんとするとた後、少し照れたように笑いながら、「期待してる」と言った。
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