28人が本棚に入れています
本棚に追加
「なあ咲、今年は花火大会一緒に行くよな?」
「うん」
今日は日曜日。今日は幸が家に遊びにきていた。そんな中、幸がそんなことを聞いてきた。
去年、幸に彼女がいた時、私は初めて幸と花火大会に行かなかった。わざと嘘をついて、幸と彼女が花火大会に行くように声をかけた。
本当は行きたかった。私は花火が好きだ。そして、花火を観ている時の幸の横顔を見るのが好きだった。花火を見る幸は、本当に楽しそうだ。目がキラキラしてて、花火から一瞬も目を離さない幸の顔は、子供の頃から変わらない。
だから、私は幸のその問いにすぐそう返事をした。
ただ、今回の花火大会は今までと少し違う。
それは、私たちの秘密の場所ではなくなってしまったこと。
小さい頃に幸とその場所を見つけてからは、その場所を2人だけの秘密の場所にして、いつもそこで2人きりで花火を見ていた。
けど、去年、幸が彼女と花火を見に行った時、幸は彼女とその場所で花火を見た。
だから、もう幸と私の2人の場所ではなくなってしまった。
いつも誰かと一緒に笑っている人気者の幸だったけど、その秘密の場所にいる時だけは、私と幸の2人だけ。幸を独り占めできているみたいで嬉しかった。だから、幸にとっての秘密の場所は、私にとっては特別な場所でもあった。
「やり!今年はその日絶対予定入れるなよ」
「わかった」
そんなことをうだうだ考えていた私だったが、幸が嬉しそうにそう笑いかけてくるもんだから、私もつられて笑ってしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!