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花火大会の会場から少し離れた所にある小さな神社。その神社の鳥居から見える見える花火は、視界を遮るものがないためとても綺麗に見える。ただ、そこまで登る階段が結構きつい。それが私達だけの秘密の場所になった大きな理由だろう。
「ふぅ、やっと着いたな」
「う、うん」
「はは、大丈夫か?」
「だ、大丈夫」
幸に笑われながら、私は大きな鳥居の下に立ち息を整えた。
「誰もいない...」
息を整えたあと、周りを見渡して見ると、そこには誰もいなかった。その光景を見た私は、思わずそう呟いていた。
「当たり前だろ?俺たちの秘密の場所じゃん」
「う、うん」
実は私は少し考えていた。もしかしたら、私達以外に誰かいるんじゃないかと。だって、ここはもう私と幸の秘密の場所ではないのだから。
そう思いながら、ぼーっと目の前を眺めていると、その視界に突然、幸が割り込んできた。しかも、少し不満そうな顔をしている。私は何故幸がそんな顔をしているのかわからず思わず首をかしげた。
「何だよその反応。まさか咲、俺以外にここの場所、誰かに教えたのか?」
拗ねながらそう言ってくる幸。どうやら、私のさっきの曖昧な返事が気に入らなかったようだ。けど、流石の私もその質問には黙っていられない。だってここは私にとって特別な場所なのだから。なぜ私が幸以外にここを教えなきゃないんだ。
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