花火大会2

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花火大会2

「頼む高橋!このあと買い物付き合ってくれ!」 「は?どうした幸。ずいぶん急だな」 ホームルームが終わり、教科書を鞄につめ帰ろうとしていた時、突然目の前に現れた幸に俺の帰宅は阻まれた。 「明日、花火大会があるだろ?」 「ああ、あるな」 「そこに着てく甚平を買いに行きたいんだ」 なるほど。だから誘いが急だったのか。 あれ、でも確か…。 「お前、甚平もう持ってなかったか?」 俺がそういうと、幸は「うっ」と声を詰まらせた。そして「持ってるけど、中学の時から来てるやつで少し小さいし、それにデザインも古いし…」とぶつぶつと独り言のように話だした。 そんな幸の様子を見て、俺は今日の昼休みの事を思い出した。 『ねえ、明日の花火大会行くー?』 『あたし、彼氏と行くよー』 『うわ、いいなー。てか、花火大会と言えばさ、やっぱ甚平だよねー。この雑誌にもさ、彼氏に来てほしい甚平特集載ってるんだけどさ、これとかよくない?』 『わー、めっちゃ良い!特にこれとか良くない?』 『あ、それいいよねー私も思った!てか最近の甚平って種類も沢山あっていいよねー。私も去年彼氏に甚平着てってお願いしたらさ、何年前に買いましたーって感じのサイズもあってない古い甚平着てきてさー。今年は新しいのかってよねって言っといたわ』 『それ大事。ただ甚平着ればいいってわけじゃないよね』 女子たちが雑誌を広げながらそんな話をしていたっけ。やけに今日の昼休み静かだなーと思ってたら、幸、その話気にしてたのか。 「いいぜ、行こう」 「まじで!さんきゅー高橋!」 今までの幸だったら絶対気にしてなかっただろうに、きっと今のこいつは咲ちゃんの事で頭がいっぱいなんだろうな。 そう思ったら、まあ、協力してやらない事もないかなと思った。
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