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剣と魔法が跋扈し、街の門を出ればモンスターが徘徊する。
訪問して、たった数時間で、異世界オンパレードだ。
「くっそ、あのエロおやじ。何度思い出しても、ムカムカする」
ブツブツと怨念を漏らしながら首の骨を鳴らすQの赤毛の髪が、外から差しこむ太陽光を受け、燃えているように見える。
ちなみに、あのオヤジとは、あろうことか、国王のことだ。
Qは、詳細は伏せるが、国王のセクハラまがいの発言を受け、ブチギレ寸前だった。
相手を選ばないその態度は、ある意味、すがすがしい。
これは、そうとう怒ってるな……。
声がおそろしく低い。
顔がわずかに笑っているのが、よけいに怖い。
Qは美人だが、こういうとき浮かべる表情は、男性さえもおそれさせる。
それは、日本国内だろうが海外だろうが、地球外だろうが異世界だろうが、おなじことだった。
「Q……そろそろ機嫌なおしてくださいよ」
「これがニコニコしていられるか。あんなブタみたいな顔しやがって、よくも」
「言葉に気をつけてくださいって……相手は国王ですよ」
「それがなんだ、あんなヤツが一国の帝王だってなら、私は一夜の嬢王だ」
「ちょっと意味がわからないです」
「ああああ、怒りがおさまらん。おい、一発なぐらせろ」
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