Act 1-1:異世界の少女たち

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「やつあたり! かっこわるいですよ!」 「好きだ。抱かせろ」 「変な流れで口説いてこないでください!」 「ストレス発散なら、殺すか抱くか、二択だろ」  この人は……。異世界でもキャラがくずれないとは、立派だ。 「そろそろ、ちゃんと話をさせてください」 「いいけど?」  フランクだな……。 「これからこの世界で仕事を始めますが、なにか気になること、ありますか?」 「んー……」  Qは首に手をあて、天井をあおいだ。 「文化差について、どう思う?」  やがて言った。 「こっちの世界で、私らの技術が通用すると思うか?」 「ある種の犯罪行動には、通文化一貫性があります」  ぼくは答えた。 「そもそも、アメリカやヨーロッパで開発された分析枠組みが日本で通用するわけがない、日本の犯罪の質はそのほかの国とは異なる、というたぐいの批判は、よくなされてきたことです。科学的に犯罪データを用いてパターンを検討した結果、異なる文化上でも、ほぼ応用できることがわかりました。だから、ぼくはこの世界でも、対応は可能と考えます。この世界の人々は、すがたも思考も、基本的にはぼくたちとおなじです」 「たしかに、この世界とそっちの世界は、どうやら似通ってるようなのだ」     
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