Act 1-2:死体が四つ

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「死体が、発見しただけでも四つ」  立ったまま説明を開始するピュグマの言葉に、同じく立ったままのQは顔を上げた。  その手には、コーヒーに似た味のするドリンクの入ったカップ。  寝覚めに効くだとか心拍数が上昇するだとか、世間的に言われる効能までおなじらしい。  ぼくとQは、便宜的に、その飲み物を「コーヒー」と呼称することにした。  だが、その色は紫色というブキミなしろものだ。  Qは気に入ったらしく、すでに三杯目に入っている。 「四つというのは、あいだを置いて? つまり……一度に四人殺したなら、大量殺人だ」 「ここ二節季のあいだなのだ」  この世界の単位で、ぼくたちの感覚で言えば、およそ二ヶ月。  ふん、とQがうなずいた。 「連続殺人か」 「連続しているとはかぎりませんよ。異なるアンサブによる、べつべつの事件かも」  木イスに座って、ぼくは可能性をあげた。 「あんさぶ?」  ピュグマが首をかしげた。Qが解説する。 「アンノウン・サブジェクト。氏名や身元が未確定の容疑者の呼称だ。──べつの事件の可能性か。そんな短期間のあいだに、おなじ地域で?」     
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