Act 1-2:死体が四つ

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「短期間というなら、二ヶ月で四人は、数字としては、おおいですよね。おなじアンサブなら、ペースがはやい。連続殺人にしても、冷却期間が短すぎます」 「れーきゃくきかん?」  ピュグマは、またしても問いを発した。興味津々といったふうに身を乗り出す。  今度は、ぼくが説明役を引き受けた。 「連続殺人、というのは、こう定義されます。一人あるいは一グループの犯人が、複数人を殺害。一回の事件で殺害する人物は、ふつう、一~二名程度。その後、冷却期間と呼ばれる、数日から数年の一定の期間が経ってから、ふたたび同様の殺人事件をくりかえす、というパターンがとられます」 「ふんふん」 「これが、殺人のあいだに冷却期間が存在せず、一度に一つの場所で大量の人を殺傷すれば、それは大量殺人という概念になります」  ぼくは、手もとにくばられた紙をめくった。 「ところで、それぞれの遺体についての詳細はないですか? 検視結果のようなものが、どこにも見当たらないのですが」  少女たちは、顔を見合わせた。代表してピュグマが答える。 「死体を調べる風習はないのだ」 「風習というか……じゃあ、遺体はいま、どこに?」  少女たちが、ふたたび、顔を見合わせる。 「魔術によって火葬された」     
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