Act 1-2:死体が四つ

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 われ関せず、といった雰囲気で、これまでいっさい発言してこなかったナズナが、読んでいる本から顔を上げないまま、素っ気ない口調で簡潔に言った。  みんなが言いにくかったことを代表して言ったかたちとなったが、本人は気にも留めていない様子だ。 「冗談だろ?」  Qが指でこめかみを押さえた。 「よく調べもせずに?」 「こういうことに慣れてないのだ……社会自体が」  ピュグマは頬をかいた。  こいつはまいったな、といった表情で、Qがぼくを見る。 「魔術で可能な事柄のなかに〈念写〉というのがありましたね? 言葉からの連想でしかないですが……それはつまり、現場や遺体の、ぼくたちがいうところの写真、がのこっているということではないですか?」  ぼくの問いに、ピュグマがうなずいた。 「そうなのだ。魔術のこと知らないのに、どうしてわかった?」 「わかったわけじゃないですよ」  ぼくは苦笑した。 「そうじゃないと困る、というだけです」  ピュグマが進み出て、杖を持ち上げた。  真っ白い壁がスクリーンの役目を果たし、スライドのように写真が浮かびあがる。 「〈念写〉魔術を発動すると、杖に埋めこまれたマギクスジェムに、狙った先の光景が記録されるのだ」  ピュグマは、仕組みを説明した。  壁には、人の顔が映し出された。金髪の女性だ。 「いちばん最初に起きた事件。被害者の名前は、アリステア」     
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