Act 1-2:死体が四つ

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 ピュグマが流ちょうにつづける。その声に、未熟さは、ない。 「首都を出て街道を西に進んだとこにある、小さな宿屋を経営してた。生前の念写は、知り合いの魔術師が持ってたのを、こっちの杖のマギクスジェムに移したもの」  つづけて、遺体の写真が映し出された。  土の上に横たわり、服はほとんど着ていなかった。全身に傷があり、犯行の痕跡があった。  写真が切り替わる。全身を写したもの、細部のもの……。  ピュグマは、軽く目をそらした。  のこりの人間は、顔をしかめながらも、見つづけた。  抵抗はないのかといぶかしんだが、すぐに思いいたった。  この世界では、魔獣との戦いが日常茶飯事だ。  血や死体は、ぼくたちの世界の人間よりも見慣れているにちがいない。 「刃物で刺されているな」  Qが言った。 「めった刺しだ」 「傷口の大きさや状態から見て、得物はダガー」  ボソッとつぶやいたナズナの観察眼に、Qは感心した様子を見せた。 「わかるのか?」 「そのすべてが致命傷じゃないことも、わかる」 「いたぶってる……?」  ナズナの言葉に、ピュグマがつぶやく。ぼくはうなずいた。 「でも、防御創がないですね。抵抗できないよう、拘束されていた?」     
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