Act 1-1:異世界の少女たち

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「えーと……」  ぼくは、咳ばらいをした。  職業柄、人見知りをするほうではないが、相手は、異世界の少女たちだ。  えび茶色の壁に囲まれた空間には、大きな丸テーブルと、高い背もたれのついたイスが置かれている。  壁ぎわには簡素なソファや、脚つきのコルクボードもある。  ここは、森のなかに設営された、〈捜査騎士団〉の本部だ。  メンバーの居住空間も兼ねた施設で、そのなかのミーティングルームにて、ぼくとQ、そして三人の少女たちは、たがいに打ち解けないまま、とりあえず共通の話題となりうる事件の話に入ろうと、準備を始めていた。  ぼくは、あらためて、出逢ったばかりの三人の少女に目を向けた。 「もきゅう~」  床であぐらをかいている、獣耳や尻尾が生えた、背の高い少女。  獣人族のモクは、弓術・体術や自然学を得意とする。  動物の言葉を理解し、わずかな土から地域を特定するといった技能もあるらしい。  彼女は言葉を発さず、基本的にボディランゲージで意思疎通をおこなう。  弓と矢筒を背負い、動物の皮でできたムダに露出の多い服を着ている。  とくに胸部は、そのサイズもあって、やけに強調されている。     
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