Act 1-1:異世界の少女たち

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 ……あぶない。必要以上に、見入ってしまった。  次だ。 「…………」  無表情でイスに座り、ぼーっとしている短髪の少女、ナズナ。  モクとは打って変わって、小柄だ。幼女体型といってもいい。  だが、見た目からは想像もできないほど俊敏な動作を可能とし、情報収集や潜入捜査など、隠密行動を担当としている。 「歩き疲れたのだ。眠いのだ」  最後は、背たけほど長い杖を手にした、ローブ姿の少女。  〈捜査騎士団〉のリーダーであるピュグマ。  魔術と薬学のスぺシャリストだ。  その外見は、ローブこそ身に合わず大きすぎるように見えるが、身体は大人すぎず子どもすぎず、ぼくにとって等身大、という感じだ。  だが発言に関しては、どことなく、子どもっぽい部分が目立つ……ような気もする。  魔術師に獣人族……。  異世界。  そんなものが存在するとは、信じてもいなかった。  けれどいま、ここでこうして、その世界で仕事をしている。  ぼく──在間恒一は高校生であり、フリーランスのプロファイラーだった。  犯人の人物像・プロフィールを収集整理・ファイリングし、統計学や行動分析により犯人像を浮き彫りにしていく、犯罪心理分析官だ。     
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