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便名を確認して彼は帰っていった。
そして、翌日、彼は私たちより早く空港にいた。
搭乗案内が入るまで私達と行動を共にし、別れ際、
「ハルルート・T・フィアロンです、忘れないで」
最後に名乗って、別れのキスをしてくれる。
私には本当に挨拶、恵里佳には少し長めで、両手で頬を優しく包んでいた。
***
あー、彼は恵里佳を気に入ったな、それはすぐに判った。
「凄いな、恵里佳。外国人の恋人できるじゃん」
動き出した飛行機の中で聞いた、恵里佳はうふふと笑う。
「これが恋愛なら遠距離もいいとこね。とりあえずEメールアドレスはもらったけど」
い、いつの間に!?
って言うか私はもらってない、ああ、あからさまな差別だ!
***
それから半年後。
日本でハルルートの姿を見る事になる。
「ハルルート!?」
「Yes、久しぶりですね、ナイダさん」
彼は私の名前を間違えて覚えていた。
なのに、恵里佳の爆弾発言。
「私、彼と結婚することになったの」
「えええ!?」
何がどうして、そうなった!?
***
曰く。
毎日の様にメールと電話責めだったらしい。
なにせ割と呑気な恵里佳なので。
それに「仕方ないわねえ」くらいで付き合っていたのだが。
やがて彼は、足繁く恵里佳の元に通う様になる。
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