【二日目】

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二人でひとしきり笑ってから、私は彼にソファを勧めた、私も向かいのソファに座る、帯があるので、浅く。 「ねえ、どうしてあんな事したの? 恵里佳に恨みが?」 「とんでもない」 シルヴァンは肩を竦めた。 「ただ、ハルルートとの橋渡しをして欲しかっただけだ」 「橋渡し?」 「俺の父は、エタンだ。今、無実の罪で投獄されている、俺は会うことも許されていない、その父に会う為に」 「投獄!? エタンって、前国王の次男の方だよね? 大病で治療中と聞いてたけど……!?」 「それは対外的に流布されている事だ。実際には西の塔の地下に幽閉されている」 ここで。 セレツィア王国の系譜を説明しよう。 前国王たるサンハデス王は一昨年に逝去。 サンハデス王には三人の子供がいた、長男のユルリッシュ、次男のエタン、そしてハルルート王の母になるマルグテ。 末っ子のマルグテ夫人は、アメリカのホテル王と呼ばれる実業家と恋愛結婚し、二男一女を設けていた。 王の死後、暫くはユルリッシュが執務を行なっていたけれど、サンハデス王の一年の喪が明ける頃、謎の死を遂げる。 アメリカ・ニューヨークのスラム街で、変死体で発見された。 同じ頃、エタンも倒れ、隔離病棟に入院したと言う。病名などは公表されていないが面会謝絶だと発表されている。     
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