【二日目】

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次期王として自国民にも諸外国にも信頼が厚かったユルリッシュ。でもエタンとの確執がまことしやかに囁かれ、ユルリッシュの死にエタンの関与を疑う声まで上がる。 騒ぎにマルグテはセレツィアに戻り、王の代行をする。 二人の王位継承者を一度になくし、マルグテ夫人が戻ったとは言え、セレツィアの憲法には女性は王位に就けないとある、だからユルリッシュ皇太子の奥様は元々大人しい女性だったのもあって、完全に一歩控えてマルグテに全てを任せた。マルグテは『代王』として、しばし国を治めていたれど、いつまでも代王では国内が不安定になると、嫁ぎ先から長男のハルルートを呼び寄せ、亡くなったユルリッシュ皇太子の奥方と養子縁組させた上で、王位に就かせたのが半年前。 そして、エタンには一男一女がいた。 つまり。 「あなた、世が世なら、皇太子、なのね?」 「まあな。王位継承権は3位だった」 ハルルートがいなければ、王様になっていたほどの人、だ。 「お父様を、助け出したいの?」 「ああ、確かに。初めはそうしたかった」 落とした視線淋しげだった。 「当初の目的は、恵里佳妃と交換で父の冤罪を訴えたかった。でも、父はそれを望んでいない。父は言葉を残した、どんな暴君でも独裁者でも、民を思い国を思う政を行うならば、その者が君主だと。今回の過ちはきっと父の本意だ、父はあそこから出たいとは思っていないと、そう理解した」 「そんな……牢に入ってて、快適な訳が……」     
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