【三日目】

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【三日目】

翌日の朝ご飯が終わると、私は恵里佳と二人きりになる時間をもらった。 「ねえ、シルヴァンって人、知ってる?」 いきなりだったから、恵里佳は面食ったようだ。 「え? ええ……でも、一応おぼえておけと言われたくらいで、お会いしたことはないわ、宮殿にお住まいの筈なのに、食事も別々にされてるようで……前国王の第二王子のご子息でしょ?」 私はうんうん、と頷いた。 「その第二王子が、今牢に繋がれているのは知ってる?」 単刀直入に聞くと、恵里佳の顔が明らかに曇る。 「ごめんね、渚沙……関わるなって言われてるの、名前も出すなと……変に噂話になってはいけないからって……」 名前すら出すな? つまりエタン殿下は、存在すら消されるって事? シルヴァンが留学の為に出国したら、もう戻れないと言ったのが、現実味を帯びてくる。 「無理を承知でお願いする! シルヴァンとエタン殿下を、会わせてあげてほしいの!」 「ええ?」 さすがに驚いたようだ、そりゃそうだ、私が知る筈のない人、事柄だ。 私は包み隠さず話した、恵里佳なら大丈夫だと思ったから。 「……そんなことが……」     
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