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「でも。婚儀が終わってしまったら、そうそう自由に外を歩き回るなんてできませんし。特に渚沙となんて」
マルグテ夫人は探るように見ていたけれど、納得してくれたようだ。
「良いでしょう、エレメイを護衛につけます」
「ありがとうございます」
恵里佳は100満点の笑顔で答えた。
***
護衛と言ってついて来た男は、舞踏会の時、シルヴァンと付かず離れずに立っていた金髪の男だった、シルヴァンが出て行くと何食わぬ顔して出て行った……シルヴァンが警護と言う名の監視だと言っていた人だろう。
エレメイは助手席に、運転は運転手に任せて、私達は後部座席で女子トークに花を咲かせていた。
「あーこうして気軽に出られるのも、あとわずかかあ」
恵里佳は言いながら、私の太腿に指で文字を書く。
≪よりによって、エレメイがきちゃった。くわしい話は夜ね≫
そっか、なんか話がしたくて外に出たいなんて?
「頑張ってね、王妃様業!」
私も口では軽口を聞きながら、恵里佳の手を取って書く。
≪エレメイは日本ゴわかるの?≫
私達は今は日本語で会話しているけど、横顔を盗み見ても、理解してるかどうかははっきりしない。
「マリッジブルーかしら、ちょっと嫌になってきたわ!」
≪わからない≫
「えー、ここまで来て、やめたいは駄目だよお!」
≪おっけー≫
「判ってるけどお」
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