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「あんた何者だ? 警戒心ゼロのくせに、えらいヤバイ奴といるじゃねえか。クジマに、女は今度ハルルートと結婚する恵里佳だろ!?」
「え?」
「あ、俺、新聞記者。あ、ゴシップ紙じゃないぜ? ちゃんとした方!」
そう言って彼は名刺をくれた、デイリーNYと書かれた名刺の名前は、ティモシー・マックイーンとあった。
「クジマって……?」
運転手はガブリエルって名前の筈で……。
「金髪の男だよ。傭兵のクジマ・チューヒン、今はマルグテ夫人の用心棒だ」
「え? エレメイの事?」
「あー、そんな名前名乗ってんだ? 本名はチューマンだよ。傭兵って言うか、スパイ?」
「す、スパイ……!?」
「うーん? 正確には暗殺者だな。あんなのと組んでる時点で、マルグテ夫人のクロは確定なんだけどな」
「クロ? ……一体何が……?」
「そうだなあ、何から話そうか?」
彼は思わせぶりに天井を見上げた。
私も自己紹介をしてから、彼は話し始めた。
「ユルリッシュ皇太子が亡くなられたのは知ってるだろう?」
「はい、ニューヨークで他殺体で見つかったって……」
「その遺体を、少なくともヘフゲン氏のオフィスから運び出したのは、クジマ……ああ、エレメイ?なんだ」
「……ヘフゲン氏のオフィス……?」
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