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箱は洗濯機を梱包したほどの大きさだ、一体何を詰めてエレメイは運んだと言うのだ。
「社員も口止めされたらしくて、こんな大きな箱を運ぶ理由がないと言ってた秘書も、今はだんまりだ……うん、その辺から攻め直してみるか……」
「私にできることは!? まだしばらく宮殿にいるし!」
ティモシーはにやりと笑った。
「真面目に婚姻の儀の取材に来たんだが……こりゃスクープか?」
私は頷く。
「あなたが記事にしてくれるなら、いくらでも協力するわ!」
彼は頷く。
「エタン殿下と接触してみた方がいい」
その言葉に、思わず息を呑んだ。
「会えるかな……息子のシルヴァンも会えないって言ってたのに……」
「身内じゃダメでも、君なら平気かも知れないだろ? 恵里佳妃に結婚の挨拶くらいさせろとか」
「そっか……恵里佳でもいいからって事ね。判った、頼んで……」
「……どうかしましたか?」
静かな声に私の心臓は跳ね上がった、目の前のティモシーの背後に立つエレメイが……!
「あ、あの……!」
私は口籠った、今の、聞かれてた!?
「bambolina!(かわいこちゃん!)」
ティモシーが突然大きな声で言った。
『残念だな、男連れだったのか! またどっかで会おうぜ、ベッリーナ!』
そう叫ぶように言って立ち上がる。
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