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力強い言葉に勇気をもらった。
***
出てからも、女子トークで盛り上がる、本当になにがそんなに話すことがあるんだか。我ながら呆れる。
部屋に戻ったのは10時過ぎ、暗い部屋の明かりを灯す前に、ふと感じた。
窓の外の気配に。
カーテンを開けると、シルヴァンがバルコニーの手摺に腰掛けて水面を見つめていた。
慌てて窓を開ける、途端に冷風が吹き付けた。
「シルヴァン!」
声をかけるより前にシルヴァンは振り向いていた、私は思わず駆け寄っていた。
「いつから待ってたの!? 寒かったでしょ!」
私が生まれ育った横浜と比べれば、セレツィアは暖かい、それでもコートもなく何時間もいたら寒いだろう。
「早く中に……!」
「それ程待っては……渚沙こそ」
そう言って、シルヴァンは自然に私の髪を撫でた。
……待って……心臓、止まる……!
「髪が濡れてるじゃないか、そんな格好では風邪を引くぞ」
そのまま私を肩を抱いて歩き出す……私は足がもつれそうだった。
部屋に入るとシルヴァンはすぐに窓を閉めた、途端に冷気が止まる。
「風呂だったのか?」
「あ、うん、恵里佳と話し込んでて……ねえ、大変! アメリカの新聞記者と話ができたの!」
記者と言う名に興味を示してくれた。
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