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「今日、明日って訳にはいかないだろうけど、みんながこの異常事態を判ってくれるって信じてる!」
「渚沙……」
「もしかしたら王家は滅茶苦茶になっちゃうかも知れないけど! きっとエタン殿下なら大丈……!」
全部言う前に、シルヴァンに抱き締められた。
「シルヴァ……」
「ありがとう」
耳元で声がした。
「少なくとも父が解放されるなら、それでいい」
それがシルヴァンの本心なんだ。民の為、国の為と言っても、やっぱ親の方が大事だよね。
最初触れていた体は冷たかった、やはり夜気に触れていた体は冷えていたんだろう。
思わず背中に手を回して抱き締め返した、その背中も冷えてる。
でも抱き締め合っている内に、温もりが伝わってきた。
あったかい。
シルヴァンの身体は引き締まっていて硬くて、なのに本当は心は脆くて、家族の事で壊れそうだったんだと判った。
助けたい。
エタン殿下もだけど、何よりあなたを。
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