【四日目】

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『精が出ますね。パトロールですか?』 恵里佳はこちらに来て覚えたフランス語で聞く。 「恵里佳様」 男は英語で返した。 「ここには誰も近づけるなとお達しが出ております。お戻りください」 「それを言ったのは誰? ハルルートなの?」 「お答えしかねます」 「何があるの?」 「お答えしかねます」 「ハルルートに聞いたら判る?」 「それは恐らく、お判りにはならないかと」 「そう」 恵里佳はにこりと笑って踵を返した、五歩も下がって待っていた私と合流する。 止まることなく歩いて行く恵里佳の後を、慌てて追う。 「恵里佳?」 「城の人間じゃない者が守るエリアがあるって、おかしいでしょ」 恵里佳は怒っていた。 「うん……」 「情けないわ、ハルルート。こうなったら、何が何でも暴いてやるから」 ずんずん歩いていく恵里佳……いや、王妃様、いいの……? *** 夜、恵里佳が私の部屋を訪ねてくる。 「本当に、ハルルートったら!!!」 相当お冠だ。 西の搭の事を根掘り葉掘り聞いたけれど、ハルルートは何も知らないらしい、挙句に「母に聞いてみる」と。 「お義母様の耳に入れたら、どうなることやら」 恵里佳の苛立ちも判らなくもない。 なんでもかんでも母親頼りで、この先王様が務まるのだろうか。     
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