【四日目】

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「例の写真、お義母様に見せるとか!」 「恵里佳、ちょっと落ち着いて」 何があっても動じなかった恵里佳とは思えない。 「人が一人、亡くなってるのよ?」 恵里佳は呻くように言った。 「しかも国葬とは言え、ひっそり行われたって。ご遺体の状態が状態だったから、亡くなられた事を話すことも憚られたって。しかもエタン殿下が冤罪で投獄されてるなんて、本当に駄目!!!」 その通りだ、どうしたら解決されるの? その時、窓がトントントン、とノックされた。 私は条件反射のように窓辺へ行き、窓を開けていた。 シルヴァンがカーテンを翻して室内に入る、途端に息を呑んだ、ソファーに座る恵里佳と目が合ったらしい。 「まあ……」 恵里佳も驚いて呟く。 「渚沙、あなた、意外と行動的だったのね、男性に夜這いさせるなんて」 「違う!!!」 日本語での会話でよかった、なんてこと言うのよ!!! 「恵里佳妃」 シルヴァンはそう言うと、恵里佳の前に跪いて手を取り、その甲にキスをした。 「初めてご挨拶をさせていただきます、シルヴァンと申します」 「あなたがシルヴァン殿下でしたか。何度かお顔は見たことがありました、おかしいわね、あなたも王族でこの宮殿に住んでらっしゃるのに」     
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