【それは突然動き出す】

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「嫌じゃないけど、でも、残って、え、なんで……!?」 「渚沙と離れるのが辛い」 「つ、辛いって……」 私もだ、シルヴァンの姿を見ていたい。 「ずっとそばにいたい」 「ずっとって……」 「結婚を見据えて、交際を」 ええ!? そりゃ王子様が遊び半分にはつきあえないだろうけど、そんな、そんな、そんな……どうしたら!? 「で、でも、まだ出逢って1週間も経ってないよ!? 私は一般市民だし、ガサツだし、不器用だし、そんな人間が……!」 「正義感があって、行動力もある、素敵な人だ。恵里佳だって一般市民じゃないか、何を引け目に感じる?」 「だ、だって……!」 シルヴァンは王子で皇太子で、つまりはいずれは王様になる人で、そんな人に口説かれてるこの状況が、さっぱり理解不能! 「わ、私に王室なんて……」 「嫌なら捨てる」 「は、はい!?」 「実はこの数年は楽しかった、不自由はあったが、王室から一歩引いたところにいるのは、心の自由があった。それはそれでいい生活だった」 「だからって、シヴァがいなかった、跡継ぎが……!」 「ハルルートがいる。言ったろ、あれはあれでいい王になると」 いやいやいや、そうだけど! 「渚沙が日本じゃなきゃ嫌だと言うなら俺が日本へ行こう」 「そんな事言ってるんじゃなくて!」     
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