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1:はじまり
いつもと変わらぬ平凡な日々。
高校へ行って、授業を受けて、帰りに友達と寄り道して。
卒業後の進路の事まではまだ考えていないけれども、今はまだこの普通の日々が続いていくものだと思っていた。
――――そうなるはずだった。
* * * * *
二時間目の数学の授業中。
普通に授業を受けていたら、唐突に凄まじい眠気に襲われた。
今の時間が午後ならば眠くなっても可笑しくはないが、今は午前中で、まだ二時間目が始まったばかり。
そもそも昨日は早く寝たので、こんな時間に眠くなることなどありえない。
しかし普段から眠気に耐えて授業中は一度も寝た事がないというのに、今回は何故か抗えない。
体に力を入れても、徐々に傾いていく。
それはまるで、誰かに頭を押さえつけられ、無理やり机に伏せさせようとしているようで。
さすがにこれは可笑しい、何かが変だ―――とは思いはするものの、何故かどう頑張っても眠気に抗う事が出来ない。
「――――」
身体が、瞼が、沈み堕ちていく。
頭が机に接触するのと同時に、私は眠りの海に沈んでいってしまった。
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